2015年3月24日火曜日

chap. 2

"in the port of Amsterdam"

大海戦明け。劇的な勝利の後、ここしばらく足を向けなかったアムステルダムへと。
実はこの世界の多くの港で大好きなひとつがこのアムステルダムだ。


気分屋な私のことだから、こうしたベストいくつ的なランキングはころころ変わるのだけれど、いつも変わらずベスト5に入るのは、母港マルセイユとこのアムステルダムだったりする。

特にこの運河から造船所へ向かう風景が好き。妙な窮屈さと、そこから世界へ出て行く広がりとがないまぜになった不思議な空気が好き。

私はヴェネツィアで生まれて、青春期の前半をこのアムステルダムを母港に過ごし、そして今はマルセイユの暖かな人情に抱きとめられて、航海をしているのだけれど、恐らくは用事がなければほとんど立ち寄ることもなくなったヴェネツィア(大名物と言っていい"とこしえの黄昏"が失われてしまっては尚更だ)と較べて、何かと口実をつけてはここにやって来る。




Dans le port d'Amsterdam
Y a des marins qui chantent
Les rêves qui les hantent
Au large d'Amsterdam
Dans le port d'Amsterdam
Y a des marins qui dorment
Comme des oriflammes
Le long des berges mornes
Dans le port d'Amsterdam
Y a des marins qui meurent
Pleins de bière et de drames
Aux premières lueurs
Mais dans le port d'Amsterdam
Y a des marins qui naissent
Dans la chaleur épaisse
Des langueurs océanes

アムステルダムの港で
水夫が外海への夢にとりつかれて歌っている
アムステルダムの港で
陰気な土手に沿って水夫が旗のように眠っている
アムステルダムの港で
ビールを浴びるように飲んで騒ぎを起こし
夜明けの微光の中で死んでゆく水夫がいる
だけどアムステルダムの港には
よどんだ大洋の蒸し暑い中で
生まれる水夫もいる

("Amsterdam"  J. Brell)

アムステルダムとその船乗りたちを詠った、古いシャンソン。
この街を歩きながら、口ずさむメロディ。
そして私はこの街の商会管理局に立ち寄って、"塩漬け魚の木の実添え"をしこたま買っていくのだった。だって、アムスの食品って総じて安いんだもの......

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